いつものように車で送っていった。タクシー代わりなのだ。おばちゃんのおでかけの日にはもうひとつふたつ仕事がある。朝,起こさなければならない。おばちゃんはおでかけの準備に3,4時間はかかるのだ。おばちゃんは朝に弱い。弱いというより起きることはないのだ。おばちゃんの起床時刻は3時か4時。それからねむる午前1時くらいまでに,3回の食事と3.4回のおやつを食べる。きままなおばちゃんなのだ。
おばちゃんは一度で車に乗ることはない。ドアに手をかけて,玄関まで戻る。かならず忘れ物があるのだ。これは必ずだ。今日も鍵をかけていないかも知れない,と一度途中から車をもどした。そして病院につく直前。お歳暮のメモを忘れたと言い出した。
戻るかと聞いたけれど,迎えに来てくれ,そしてもう一度送ってくれと,こんなこといつものことだ。てのかかるおばちゃんなのだ。でも憎めないおばちゃんなのだ。